私が住む青森県弘前市は城下町。歴史的な建造物にも恵まれ、いわゆる老舗と言われる古くからの素敵なお店もたくさんある。その中で、カクミ小路という有名な通りがあり、そこには太宰治が通ったという店など、風情のある通りだ。
その通りにレストラン・ニューマツダという洋食屋さんがあった。丁寧な仕事とリーズナブルな価格設定、男性も女性も楽しめるメニューとボリュームで、知る人ぞ知る人気店であった。
しかし、いつ頃からか不定休になりがちで、空振りすることもよくあった。それもまた、今度もまた来ようというスパイスにもなっていたのだけど。夫婦ともども、このお店のファンだったので、子どもが大きくなって最初に連れて行く洋食屋は絶対ここにしようと話題にしていたぐらいだったが、惜しまれつつ閉店となってしまった。シェフの体調が悪くなってしまったらしい。あまりに残念であった。
古くからのお店は後継者という問題に悩まされる。誰もが知る有名店なら、修行したいと訪れるかもしれないが、地方で地元の人が楽しむ小さなお店となると、継続するための選択肢も少ない。子宝に恵まれ、親と同じ道を志し、親以上の味を持って受け継いでいく店もある。美談ではあるが、現実は厳しい。道半ばで店主が亡くなられ、奥様が必死の努力で店を繋いでいく例もある。しかし、中心となっていた人の代わりなど、いるはずもないのだ。
その店ならではの基礎を身につけ、そこに新たな発想を上乗せすることで連綿と続く老舗を経営している例もある。生存競争に勝ち続けている証なのだろう。何が決定的に違うのだろうか。最初からできているとは考えにくいが、「残す」ことを前提に業務設計をやり直す時期を設けているのだと思う。生涯現役でいることは、職人としては素晴らしいことだと思う。しかし、時間という絶対基準がある以上、代替わりをしていく設計を描いておかなくてはいけないのだ。
では、何を残すのか?資産、設備といった物理的なものではない。一子相伝とも言うべき技術か?技術とは何だろうか。技術を身につけた人間の思想なのだと私は思う。つまり、考え方だ。状況は刻一刻と変わる。時代も変わる。価値観も変わる。しかし、人間が人間を超えない限り、考えるという能力が唯一にして最大の武器なのだろう。
私たちを取り巻く様々な物質は、考え方を具現化したものであり、生産者として生きるなら目を向けるべきは物質の裏側に流れる考え方だ。
残し方を設計してみようと思う。正確には試行錯誤中だ。今はマインドマップをベースとした形で始めている。残す相手は娘。もしくはその先の家族。マインドマップの問題は1ノードあたりの情報量を少なくしたほうが良いこと。しかし、全体を常に見渡せること、ノード間の関連や派生が一目でわかる視覚表現は非常に素晴らしい。MindNode Proを使っていて、ノードに写真はファイルを指定できるので、1ノードあたりの情報量を自由に操作できるというのが普通のマインドマップとは違う進め方だ。
Wikipediaのようなテキストベースの百科事典の場合、関連をたどる時に思考の流れが自然であることは良いのだが、全体を見渡しにくいこと、情報の追い方が線形になりがち、現在地を見失ってしまう、という欠点がある。その点、マインドマップは派生の結末から見ることも可能だ。ただ、異なるメインブランチとリンクするノードが増えてきた場合、カーソルが無数に交差してわかりにくくなる可能性がある。
現在はメインブランチの精査と、確定したメインブランチからの派生を進めてみている。自分史のような時系列ではない表現もありがちだが、年齢というビューは時間に沿った考え方になってしまい、自由をかえって奪うのではないかと今は考えている。今後も、この試行錯誤はブログでも共有していく予定。
CPI MEGA MIX 2016に登壇しました
2016年7月26日
KDDIウェブコミュニケーションズさん主催のCPI MEGA MIX 2016に登壇しました。Web 制作に必要な「技術・戦略」と Web 制作者の交流の場、ということで、全国のCPIエバンジェリストが昨年に続いて一堂に会しました。私はITスキルを通じて異業種との協業プロジェクトをいくつか経験し、そのケーススタディーを共有するという内容でセッションを行いました。
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テスト環境の保持期限ってどのぐらい?
2014年7月4日
システム開発に従事する方々、過去のプロジェクトについてテスト環境はどのぐらいの期間で保持していますか?思いも寄らぬタイミングで過去に納品したシステムについて問い合わせがきたりします。テスト環境を残しておいて良かったと思う反面、責務として残り続ける点についても色々と考えさせられるものがあります。
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[レポート]一歩先行く!ツール活用で制作効率アップ
2012年7月29日
今回のセミナーは全部で5セッションと非常に盛りだくさんでした。特徴的だったのは、講師陣5名の内、3名がプログラマーだったことではないでしょうか?Web制作というとフロントエンドに注目されがちなのですが、制作フローに沿って要所を抑えていくセミナーになったと思います。
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フリーランスの製作者が考えるべきプロジェクトのバランス
2012年5月22日
フリーランスだとプロジェクトに参加して様々な方と共同制作というケースもよくあるでしょうし、クライアントからの請負で制作することもあると思います。登場人物が増えれば増えるほど、プロジェクトのバランスを良好に保つというのは難しくなります。一製作者として、どのようにプロジェクトに携わるべきかを振り返ってみました。
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Twitterなどで失言する人に見えるパターン
2011年6月18日
AERAの「放射能がくる」への反響、ソーシャルネットワーク上での失言による炎上、言葉は常に諸刃の剣です。大小問わず炎上した経緯を眺めていて、失言する人のパターンという仮説を立ててみました。
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情報処理技術者として私が目指すこと
2011年6月1日
IAという言葉があります。プログラミングやデザインといった情報を具現化する手法は数あれど、その過程は属人的なノウハウであることが多く、他者との共有が難しいものです。それを言語化、図解する取り組みは過去にも数多ありますが、WEBデザイン上における同取り組みに正式な呼称がついたと捉えています。私も似た取り組みを行なっている者として、今後の指標を自分に書き残します。
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それでも私がブログを書きたくなる理由
2011年2月8日
世界に向けて発信することが、今は非常に簡単にできます。情報の性質が日々変化していく中で、あえて残したい情報として何が考えられるでしょう?そして、残したい理由は?自分のブログに対するスタンスを振り返りつつ整理してみます。
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あなたはフリーランスとして生き残れますか?
2011年2月1日
CalmTechは開業3年目を迎えました。記念すべき日ではありますが、最近の開発者・製作者事情についてのエントリから思うところを、今後の自分への戒めを込めて残しておきます。
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