IWDDミーティング#23でUI設計を人間の視覚で考えるという手法について発表しました。が、前回のエントリで割愛した内容について補足しながらまとめて行きたいと思います。
- 現代的にModel設計はプログラマの仕事、View設計はデザイナの仕事
- Modelは不変でViewは可変
- 人間の脳は立体(3次元)で情報を捉えて平面(2次元)に写像している
ModelからViewへ写像するのがデザイン
Modelというのは複数の次元からなる情報のカタマリをここでは指します。バブルマップを私が解釈すると
- X軸:内容
- Y軸:達成度(進捗)
- Z軸:優先度(期限、ストレス)
となります。この3次元で構成されるModelだという解釈ですね。なぜこういう解釈にできるのか?と言われると、これがいわゆるプログラマと呼ばれる人たちにとっての「設計」にあたる部分なので一言では語れません。分析的思考は経験則によるところも大きいですし。そもそもModelの次元は3とは限りません。ですが、人間が一度に処理できる情報に限界があるため、様々な制約を利用して次元を絞っているという側面があると思います。
よって、Modelはn次元と考えることにします。
では、Modelができたところで、人間が見る・使うとしてどういうUIにするか?という話になります。ここでViewという概念が出てきます。ViewというのはModelを人が視認できるように平面に結び付けた結果です。ここが、いわゆるデザイナと呼ばれる人たちの本業となる所だと考えています。
あえてプログラマとデザイナという分け方をしましたが、実際のところは責任範囲を分けず、どちらも考えられるのが一番よいと思います。そして、Model設計というのが最近のWEBデザイナに求められる分野かなと思っています。
ModelとViewの違いについて考えると、Modelは不変に近く変更が難しいです。これについては歴史的経緯とかデファクトスタンダードとかが概念として絡んできます。これに対し、Viewは視覚化に対する解釈の違いなので変更が簡単です。カレンダーで考えてもらえればわかると思いますが、「年月日」というほぼ普遍のModelに対し、日めくりや月めくり、年間カレンダーや週間カレンダーと様々なViewがあります。
このModelからViewへの遷移を写像と呼ぶことにします。
人間の眼は平面でしか見ることができない
導入としてModelからViewへの写像について書きましたが、あえて「平面に結び付けた結果」としたのは、人間の視覚が2次元でしか見ることができないという前提があるからです。ここからは遠近法についての話になってきます。人の眼は物体の位置関係を大きさと角度を利用して把握しているとされています。
先のリンクで透視図についても触れていますので説明はそちらに任せるとして、結局のところは立体に見えるように錯覚しているだけということです。
では、n次元から平面への写像を行います。ここで視線誘導という考え方がでてきます。この視線誘導については、人間が一度に視認する情報量という側面から考えていくことになります。
先ほどのカレンダーは視認する情報量を変えることによって、その機能を実現していると考えられます。年間全体を通して把握するのか、月なのか、週間なのか、今日だけなのか。
これは、年月日というModelについて一度に把握できる日数、つまりViewを変えることで、UIを実現していると考えられます。現在把握できる年月日が過ぎたらめくるという機能しか実はありません。が、視認できる情報量からViewを変えることによって、UIとしては全く別物に変わっているのです。
では、視線誘導としてどんな手法がとれるのか?これを次回のエントリで触れていきます。
CPI MEGA MIX 2016に登壇しました
2016年7月26日
KDDIウェブコミュニケーションズさん主催のCPI MEGA MIX 2016に登壇しました。Web 制作に必要な「技術・戦略」と Web 制作者の交流の場、ということで、全国のCPIエバンジェリストが昨年に続いて一堂に会しました。私はITスキルを通じて異業種との協業プロジェクトをいくつか経験し、そのケーススタディーを共有するという内容でセッションを行いました。
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テスト環境の保持期限ってどのぐらい?
2014年7月4日
システム開発に従事する方々、過去のプロジェクトについてテスト環境はどのぐらいの期間で保持していますか?思いも寄らぬタイミングで過去に納品したシステムについて問い合わせがきたりします。テスト環境を残しておいて良かったと思う反面、責務として残り続ける点についても色々と考えさせられるものがあります。
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[レポート]一歩先行く!ツール活用で制作効率アップ
2012年7月29日
今回のセミナーは全部で5セッションと非常に盛りだくさんでした。特徴的だったのは、講師陣5名の内、3名がプログラマーだったことではないでしょうか?Web制作というとフロントエンドに注目されがちなのですが、制作フローに沿って要所を抑えていくセミナーになったと思います。
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フリーランスの製作者が考えるべきプロジェクトのバランス
2012年5月22日
フリーランスだとプロジェクトに参加して様々な方と共同制作というケースもよくあるでしょうし、クライアントからの請負で制作することもあると思います。登場人物が増えれば増えるほど、プロジェクトのバランスを良好に保つというのは難しくなります。一製作者として、どのようにプロジェクトに携わるべきかを振り返ってみました。
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「残す」ことを前提とした設計
2011年9月7日
ここでの「残す」とは、継承というニュアンスを含んでいます。子育てをし、親の気持ちというものが分かり始めました。親は自分に何を残そうとしていたか、自分は何を残せるのか?自分の中で非常に大きなテーマとなりつつあります。残すことを前提に何かを始めるというケースは恐らく少ないと思います。
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Twitterなどで失言する人に見えるパターン
2011年6月18日
AERAの「放射能がくる」への反響、ソーシャルネットワーク上での失言による炎上、言葉は常に諸刃の剣です。大小問わず炎上した経緯を眺めていて、失言する人のパターンという仮説を立ててみました。
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情報処理技術者として私が目指すこと
2011年6月1日
IAという言葉があります。プログラミングやデザインといった情報を具現化する手法は数あれど、その過程は属人的なノウハウであることが多く、他者との共有が難しいものです。それを言語化、図解する取り組みは過去にも数多ありますが、WEBデザイン上における同取り組みに正式な呼称がついたと捉えています。私も似た取り組みを行なっている者として、今後の指標を自分に書き残します。
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それでも私がブログを書きたくなる理由
2011年2月8日
世界に向けて発信することが、今は非常に簡単にできます。情報の性質が日々変化していく中で、あえて残したい情報として何が考えられるでしょう?そして、残したい理由は?自分のブログに対するスタンスを振り返りつつ整理してみます。
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あなたはフリーランスとして生き残れますか?
2011年2月1日
CalmTechは開業3年目を迎えました。記念すべき日ではありますが、最近の開発者・製作者事情についてのエントリから思うところを、今後の自分への戒めを込めて残しておきます。
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