あなたはフリーランスとして生き残れますか?の一部でも触れていますが、現在、私たちの活動コストはとにかく下がっています。その中でも顕著なのは発信コストです。
個人ブログはもちろん、SNSやレビューサイトなど様々なサービスを通じて、誰もが自分の言葉を世界に発信することが出来ています。Webのリアルタイム性が既存メディアのスピードを凌駕しつつあることに、驚きと希望を抱く一方で、懸念を抱くこともあります。
住み分けと使い分け
発信コストが下がったものの、その内容は断片化してきており、情報の濃度も薄れがちです。とはいえ、Twitterのようなリアルタイム性に優れ、参加者数が世界規模となると、エジプト反政府デモのように、波及効果は眼を見張るものがあります。携帯電話がなかった頃にどうやって待ち合わせをしていたかを思い出せないように、もはやデファクトといえる各Webサービスが無かった頃は思い出せません。
内容の断片化につられ、文章の読解・作成にかけられる時間も断片化してきていて、「まとめ」を売りにしたコンテンツやツールが増えています。利用者は使い分けが進んできています。瞬間的な情報はTwitter、啓蒙や分析といった時間がかかる情報はブログと使い分ける人が増えています。
私が求めている情報
刻々と流れる情報で何を望むかは人それぞれですが、私が目を留める発信者には以下のような傾向があります。
自分にない切り口からの評価
評価の対象は、思考実験的なものから統計情報を元にした確度の高いものまで様々ですが、やはり眼を引くのは自分が知らなかった、思いもしなかった切り口からの意見です。こんな考え方があったのか、こんな使い方があったのかという驚きは刺激になるだけでなく、その後の行動指針にすら影響を与えます。
しかし、ただ穿った見方やおもしろおかしい見方であれば良いのではなく、発信者のバックボーンが伺える切り口だと更に興味を引きます。慧眼や深い洞察は日々の生活の中で、どれだけ注意を払っているか、振り返っているかで決まっていくのでしょう。
また、そういった独自の切り口を提供する発信者は、かなり偏った意見を出すことも多いですが、今、自分が偏ったことを発信しようとしているという事実も客観的に捉えた補足をしていることが多いです。
全体像の解説
ある状況や事象について、継続的な観察を行なっている発信者がよく行っています。新しい知識を獲得する際に、こういった「ベスト版」のような全体像の解説は非常に助けられます。
情報を手に取る、タイミングや入り口は様々なので、時に誤解を持ったまま咀嚼しようとしていることがあります。そんな時に、こういった全体像の解説は自分の立ち位置を確認できますし、解説と照らし合わせて、情報の真偽を自分の視点で確認する助けとなります。
意見や疑念の代弁
私がインターネットをおもしろいと感じたのは、こういった発信者に出会えるチャンスがあるからです。常識、たしなみ、ブランドという価値基準は時に人の判断を狂わせます。どれもが後付で作られた価値観にも関わらず、民族性なのかどうかわかりませんが、振り回されている人は自分も含め非常に多いのです。
その中で、自分なりの意見や疑念を、知り合いでも何でもない、どこに住んでいるかもわからない誰かが代弁してくれていると、不思議な安堵を得ます。特に自分が信用できると思うバックボーンをもった発信者による代弁は、今後の行動指針に大きな後押しとなります。
「あの人と一緒だから大丈夫」という表面的なものでありません。大なり小なり、自分なりに時間をかけている意見や疑念は、人生にとっていつの間にか重要なテーマとなっています。偶然にせよ、同じテーマを持った人間がいるという事実は、大げさかもしれませんがある種の「救い」にすら成り得ます。
それでも私がブログを書きたくなる理由
代弁者の存在は、自分の考えを再整理するきっかけになります。これまでひとつの基準しかなかったものが、もうひとつの基準によって確度を高めたり、新たな発見を得ることになるからです。
そこからもう1周して考えたことを自分への確認テスト、誰かにとっての代弁者になることを期待して私はブログを書いています。知的刺激を受けて、分散していた情報が一気に繋がっていくときは快感すら覚えます。そして、湧き出た思考を残したいという衝動に駆られるのです。
ライフログが巷では人気ですが、思考ログ(Mind Dump)もその当時に何をしようとしていたかを振り返ることになり、比較対象として良き判断基準となるでしょう。未来の自分が振り返ったとき、その価値を感じるはずです。
CPI MEGA MIX 2016に登壇しました
2016年7月26日
KDDIウェブコミュニケーションズさん主催のCPI MEGA MIX 2016に登壇しました。Web 制作に必要な「技術・戦略」と Web 制作者の交流の場、ということで、全国のCPIエバンジェリストが昨年に続いて一堂に会しました。私はITスキルを通じて異業種との協業プロジェクトをいくつか経験し、そのケーススタディーを共有するという内容でセッションを行いました。
0 Comments1 Minute
テスト環境の保持期限ってどのぐらい?
2014年7月4日
システム開発に従事する方々、過去のプロジェクトについてテスト環境はどのぐらいの期間で保持していますか?思いも寄らぬタイミングで過去に納品したシステムについて問い合わせがきたりします。テスト環境を残しておいて良かったと思う反面、責務として残り続ける点についても色々と考えさせられるものがあります。
0 Comments1 Minute
[レポート]一歩先行く!ツール活用で制作効率アップ
2012年7月29日
今回のセミナーは全部で5セッションと非常に盛りだくさんでした。特徴的だったのは、講師陣5名の内、3名がプログラマーだったことではないでしょうか?Web制作というとフロントエンドに注目されがちなのですが、制作フローに沿って要所を抑えていくセミナーになったと思います。
0 Comments1 Minute
フリーランスの製作者が考えるべきプロジェクトのバランス
2012年5月22日
フリーランスだとプロジェクトに参加して様々な方と共同制作というケースもよくあるでしょうし、クライアントからの請負で制作することもあると思います。登場人物が増えれば増えるほど、プロジェクトのバランスを良好に保つというのは難しくなります。一製作者として、どのようにプロジェクトに携わるべきかを振り返ってみました。
0 Comments1 Minute
「残す」ことを前提とした設計
2011年9月7日
ここでの「残す」とは、継承というニュアンスを含んでいます。子育てをし、親の気持ちというものが分かり始めました。親は自分に何を残そうとしていたか、自分は何を残せるのか?自分の中で非常に大きなテーマとなりつつあります。残すことを前提に何かを始めるというケースは恐らく少ないと思います。
0 Comments1 Minute
Twitterなどで失言する人に見えるパターン
2011年6月18日
AERAの「放射能がくる」への反響、ソーシャルネットワーク上での失言による炎上、言葉は常に諸刃の剣です。大小問わず炎上した経緯を眺めていて、失言する人のパターンという仮説を立ててみました。
0 Comments1 Minute
情報処理技術者として私が目指すこと
2011年6月1日
IAという言葉があります。プログラミングやデザインといった情報を具現化する手法は数あれど、その過程は属人的なノウハウであることが多く、他者との共有が難しいものです。それを言語化、図解する取り組みは過去にも数多ありますが、WEBデザイン上における同取り組みに正式な呼称がついたと捉えています。私も似た取り組みを行なっている者として、今後の指標を自分に書き残します。
0 Comments1 Minute
あなたはフリーランスとして生き残れますか?
2011年2月1日
CalmTechは開業3年目を迎えました。記念すべき日ではありますが、最近の開発者・製作者事情についてのエントリから思うところを、今後の自分への戒めを込めて残しておきます。
1 Comment1 Minute